RISC-V開発の「今」と「これから」:2年間の変化と導入のリアル

<span id="hs_cos_wrapper_name" class="hs_cos_wrapper hs_cos_wrapper_meta_field hs_cos_wrapper_type_text" style="" data-hs-cos-general-type="meta_field" data-hs-cos-type="text" >RISC-V開発の「今」と「これから」:2年間の変化と導入のリアル</span>

 IARで技術を担当している赤星です。先日開催したウェビナー「RISC-V開発の「今」と「これから」 - 2年前からの変化と導入のリアル」では、多くの皆様にご参加いただき、誠にありがとうございました。今回は、そのウェビナーの内容をもとに、私自身の経験や調査で感じたRISC-Vの現状と未来について、まとめたいと思います。 

RISC-Vを取り巻く環境は劇的に変化した2年間 

2年前、私がRISC-Vのウェビナーを開催した時には、まだ「オープンな命令セット」というコンセプトは魅力的であるものの、実際に使えるマイコンや具体的な導入事例は限られていると感じていました。しかし、この2年間で状況は劇的に変わりました。 

特に大きな変化点は実製品の登場です。2023年には秋月電子がRISC-Vマイコンの販売を開始し、より身近な存在になりました。そして、2024年にはルネサスが自社開発のRISC-Vマイコンをリリースしたことは、業界全体に大きなインパクトを与えたと実感しています。uITRONの販売も開始されたり、インフィニオンも積極的に参入を表明するなど、RISC-Vはもはや「未来の技術」ではなく、「今、使える技術」へと進化を遂げています。 

オープンであることの光と影:開発者が直面する「リアル」 

RISC-Vの最大の魅力は、そのオープンな命令セットにあります。基本命令に加え、様々な拡張命令やベンダー独自のカスタム命令を追加できる高い自由度は、まさに開発者の夢を形にするようなものだと感じています。しかし、この自由度がゆえに、開発現場では思わぬ課題に直面することもあります。 

例えば、割り込みコントローラーやタイマー、スペシャルレジスターの実装がベンダーによって異なるという点です。私自身、異なるRISC-Vマイコンでの開発支援を行う中で、「またここもアドレスが変わるのか…」と戸惑うことがしばしばあります。Arm Cortex-Mシリーズのように、ある程度共通化された実装がある場合は開発効率も高まりますが、RISC-Vでは各社の独自性が色濃く出ることがあります。 

これは、RISC-Vが特定のベンダーに依存しないオープンなエコシステムを構築していることの裏返しとも言えます。それぞれのベンダーが自社の強みを生かした実装を行うため、多様性が生まれる一方で、開発者にはそれぞれの違いを理解し、対応する知識が求められるのです。 

IARが提供するRISC-V開発の「安心感」 

このようなRISC-Vの特性を踏まえ、IARでは開発者の皆様が安心してRISC-V開発に取り組めるよう、様々な支援を提供しています。 

まず、充実した導入資料です。「Getting started with RISC-V by IAR」をはじめ、ルネサス、SiFive、Gigadevice、Raspberry Pi Picoといった主要な評価ボードに対応した詳細な学習ガイドを用意しています。これらの資料は、ハードウェアの接続からベアメタルプログラムの作成、デバッグ方法まで、私がこれまでの経験で得たノウハウを詰め込んで作成しました。ぜひご活用いただき、スムーズな開発スタートを切っていただければ嬉しいです。 

そして、IAR Embedded Workbench for RISC-Vの最大の強みは、その商用コンパイラの信頼性にあると自負しています。特に機能安全が求められる組込み開発では、ツール認証済みのコンパイラが不可欠です。私たちは、ベンダーごとに異なるバージョン管理の手間を軽減し、より効率的な開発環境を提供します。私自身、複数のベンダーを使わなければならない状況で、その煩雑さを痛感した経験があるからこそ、IARの汎用性の高さは大きなメリットだと考えています。 

コードサイズについても触れておくと、RISC-VのC拡張命令を適切に利用すれば、ほかのアーキテクチャと比較しても遜色ない、あるいは場合によってはより小さなコードサイズを実現できることも私の検証で確認できています。常に特定のアーキテクチャが最適とは限らないのが、現代の組込み開発の面白いところだと思います。 

まとめ:RISC-Vの未来を共に 

RISC-Vは、この2年間で大きく成熟し、組込み開発において無視できない存在となりました。まだ導入期であることは否めませんが、その勢いと可能性は計り知れません。 

今後、さらに多くの企業がRISC-Vを採用し、多様な製品が市場に投入されることでしょう。RISC-V開発にご興味をお持ちの方、あるいはこれから導入を検討されている方は、ぜひIARの資料をご活用いただき、お気軽にお問い合わせください。